2027年2月20日、火星が地球に最接近します。今回は、2018年の「大接近」と比べて距離が遠いため「小接近」と呼ばれますが、それでも地球との距離が約1億141万5千キロメートルまで近づき、火星観察には絶好のチャンスとなります。2月11日には木星も衝を迎え、火星と木星がそろって夜空で明るく輝きます。
地球と火星の動き
火星は、地球の1つ外側の軌道を回る太陽系の惑星です。地球は太陽の周りを約365日かけてほぼ円形の軌道で公転しますが、火星は約687日かけてやや中心がずれた楕円軌道で回っています。このため、公転スピードが異なり、地球は約780日(約2年2カ月)ごとに火星に追いつき、最接近します。このときの距離によって「小接近」「中接近」、そして約15~17年に一度の「大接近」が起こります。
2018年7月31日の大接近では、地球と火星の距離は約5,759万キロメートルまで近づきました。今回の約1億142万キロメートルは、その約1.8倍の距離です。次の最接近は2029年3月29日(約9,682万キロメートル)、次の大接近は2035年9月11日で、約5,691万キロメートルまで接近します。
火星の見える位置
2026年秋頃から、火星は次第に明るくなり、天体望遠鏡での観察もしやすくなります。最接近のころには、視直径が約13.8”、明るさがマイナス1.2等級と、赤く輝く火星が普段よりも何倍も大きく見えるでしょう。最接近の当日だけでなく、その前後1~2ヶ月の間も火星の明るさや大きさが変化していく様子を観察すると、天体の動きを身近に感じられます。
2026年2月にやぎ座にある火星は、その後、黄道十二星座をめぐり、秋にはふたご座・かに座を通ってしし座へ進みます。2027年1月12日から4月3日までは、いつもとは逆向きに動く「逆行」となり、最接近の前後はしし座の1等星レグルスの近くを行ったり来たりしています。
東京では、2月19日の日の入り(午後5時26分)の少し前、午後5時15分ごろに東の空に火星が昇り、日付が変わった20日の午前0時ごろには南の空で約70°の高さに達します。その後は西の空へ傾き、明け方の午前6時50分ごろに沈むため、一晩中観察できます。最接近の時刻は20日の午前9時13分で、日本では昼間にあたりますが、前後1日での距離の違いは約1.7万キロメートルしかありません。19日の夜から20日の夜にかけて、ほぼ最接近の状態の火星を見ることができます。
火星の近くには、しし座の1等星レグルスや、2月11日に衝を迎えたマイナス2.5等級の木星も輝いています。2月21日が満月のため、満月前(月齢13前後)の明るい月が近くにあり、月明かりがやや邪魔ですが、それでも火星はマイナス1.2等級で輝きますので、天体望遠鏡での観察におすすめです。
この時期には、西の空に冬の夜空を彩る「冬の大三角」を形作るシリウスやベテルギウス、プロキオン、東の空に「春の大三角」を形作るアークトゥルスやスピカなど、1等星も多く見られるため、星空がいっそう華やかです。
火星の大きさの変化
火星は、2026年後半から徐々に大きく明るくなり、12月以降に急速に大きく見えるようになります(下の表を参照)。
火星が地球からもっとも遠いときの見かけの大きさ(2019年8月29日、視直径3.5”)と比べ、今回の最接近時(視直径13.8”)には約3.9倍の差があります。2003年の大接近時(視直径25.1”)と比べると半分ほどの大きさですが、今回も十分に観察の価値があります。ぜひ天体望遠鏡を使って観察し、スケッチや写真撮影にも挑戦してみてください。
次の図は、火星の見掛けの大きさをイメージするための模式図です。
2026年〜2027年にかけての火星と地球の距離、視直径、明るさをまとめました(各月1日午前0時の値)。
| 年月日 | 地心距離 (万km) | 視直径 (秒角) | 明るさ (等級) |
|---|---|---|---|
| 2026年1月1日 | 3億6,070 | 3.9 | +1.1 |
| 2026年2月1日 | 3億5,590 | 3.9 | +1.1 |
| 2026年3月1日 | 3億5,030 | 4.0 | +1.1 |
| 2026年4月1日 | 3億4,340 | 4.1 | +1.2 |
| 2026年5月1日 | 3億3,600 | 4.2 | +1.2 |
| 2026年6月1日 | 3億2,690 | 4.3 | +1.3 |
| 2026年7月1日 | 3億1,530 | 4.4 | +1.3 |
| 2026年8月1日 | 2億9,910 | 4.7 | +1.3 |
| 2026年9月1日 | 2億7,710 | 5.1 | +1.3 |
| 2026年10月1日 | 2億4,950 | 5.6 | +1.1 |
| 2026年11月1日 | 2億1,480 | 6.5 | +0.9 |
| 2026年12月1日 | 1億7,660 | 7.9 | +0.5 |
| 年月日 | 地心距離 (万km) | 視直径 (秒角) | 明るさ (等級) |
|---|---|---|---|
| 2027年1月1日 | 1億3,720 | 10.2 | -0.1 |
| 2027年2月1日 | 1億0,760 | 13.0 | -0.9 |
| 2027年2月20日(最接近) | 1億0,140 | 13.8 | -1.2 |
| 2027年3月1日 | 1億0,270 | 13.6 | -1.1 |
| 2027年4月1日 | 1億2,460 | 11.2 | -0.4 |
| 2027年5月1日 | 1億5,970 | 8.8 | +0.3 |
| 2027年6月1日 | 1億9,880 | 7.0 | +0.8 |
| 2027年7月1日 | 2億3,390 | 6.0 | +1.1 |
| 2027年8月1日 | 2億6,530 | 5.3 | +1.2 |
| 2027年9月1日 | 2億9,080 | 4.8 | +1.3 |
| 2027年10月1日 | 3億1,000 | 4.5 | +1.4 |
| 2027年11月1日 | 3億2,490 | 4.3 | +1.3 |
| 2027年12月1日 | 3億3,540 | 4.2 | +1.3 |