夏の大三角とは

夏の大三角は、天の川をはさむこと座の1等星ベガわし座の1等星アルタイルはくちょう座の1等星デネブを結んでできる大きな三角形で、夏の大三角形とも呼ばれています。

北半球では、7月〜9月の夜、東の空から天頂付近で見つけることができる夏の大三角は、夏の星座のガイド役となっています。

夏の夜空を見上げると、うっすらと白く輝く天の川の中に、明るい5つの星が十字架の形に並んでいるのを見つけることができます。夏の星座の代表と言ってもよいはくちょう座です。はくちょう座は、明るい星が多く形も分かりやすいため、夏の星座では最も見つけやすいので、夏の星座探しはここからスタートすると良いでしょう。

はくちょう座から、天の川にそって南に目を向けると、明るい1等星が2つ、天の川をはさんで輝いているのが見えます。わし座αアルタイルこと座αベガです。

この2つの1等星とはくちょう座αデネブを結んでできる大きな三角形は「夏の大三角(夏の大三角形) 」と呼ばれ、夏の星座のガイド役ともなっています。天の川をはさんで明るく輝く3つの1等星の美しさは、夏の星座の最大の見どころと言っても良いでしょう。

夏の大三角を作るベガ、アルタイル、デネブには古代の天文学者たちも注目していましたが、「夏の大三角」という名称が広く使われるようになったのは20世紀に入ってからです。それまでも多くの天文学者や観測者が独自の呼び方をしていましたが、1930年代に「Sommerliches Dreieck」(ドイツ語で「夏の三角形」)と呼んだのが始まりだと言われています。日本でも1960年代頃から広く使われるようによりました。

夏の大三角と七夕

7月7日、1年に1度だけ、七夕の夜に天の川をはさんで愛し合う2人が会うことができるという七夕伝説は、日本でもなじみの深い物語です。七夕の主人公、「ひこ星」と「おりひめ星」は、それぞれアルタイルとベガと言われています。

近年は、旧暦の7月7日(8月13日頃)を伝統的七夕と呼び、各地でイベントがされるようになってきました。夏休み中で晴れていることも多いため、夜空をながめる良いチャンスとなっています。

夏の大三角はどこに見える?

夏の大三角は、いつどこで見られるのでしょうか?

東京では、日が沈む8月中旬の午後6時半過ぎには、既に東の空に夏の大三角が昇っており、午後9時頃にはこと座の1等星ベガがほぼ真上まで昇ります。その後、次第に南の空、西の空へと移っていき、翌日の午前4時半頃に、わし座の1等星アルタイルが西の地平線に沈んでいきます。

夏休みの夜には、ほぼ一晩中楽しむことができますので、親子そろって夜空にうかぶ大きな三角形を探してみてください。

夏の大三角を作る星座件)

    夏の大三角Q&A

    夏の大三角について、よく聞かれる質問を簡単なQ&Aにまとめました。

    夏の大三角はいつでも見えますか?

    夜の見やすい時間帯(午後9時〜午前2時頃)に高く昇っているのは、6月下旬から10月下旬頃までになります。他の季節でも時間帯や高さなどの制限はありますが、見ることはできます。例えば、3月上旬には夜明け前の午前5時頃の東北東の空で見ることができ、5月上旬は午前3時過ぎに東の空高くに見ることができます。

    夏の大三角で一番明るい星は?

    こと座α星ベガ

    夏の大三角を作る星の中で一番明るい星は、こと座αベガです。

    明るさが0.03等級で、全天に21個ある1等星の中では5番目の明るさとなります(ケンタウルスα星を合成等級とした場合)。ベガは七夕のおりひめ星としても有名ですね。

    南半球でも夏の大三角は見えますか?

    はい、南半球でも見ることができます。ただし、北半球ほど高くは昇らず、見える時期も異なります。南半球の冬(6月〜8月)の夜に北東から北、北西の空低く見えます。

    夏の大三角の星は本当に三角形を作っているのですか?

    夏の大三角は地球から見た時の見かけ上の並びです。実際には3つの星は異なる距離にあり、宇宙空間では地球から見るような三角形を作っていません。太陽から星までの距離は、ベガが約25光年、アルタイルが約17光年と比較的近い位置にありますが、デネブだけ1,400光年もの遠い距離にあります。

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